劇団綺畸稽古場ブログ

劇団綺畸は、東京大学と東京女子大学のインカレ演劇サークルです。名前の由来は「綺麗な畸形」。

夏休み1日目

大学に入ってからというもの、自分の生活を構成する要素は非常に単純であり、ただひたすらに欲求を満たすことに専念してきたといえる。勿論これは大抵の学生にとっても至極当然のことであると思いたいことではあるが、安直に言えば、怠惰であり続けることが目的となっていた。
凡庸な少年時代を過ごした者にとっては、夏の始まりというのはすなわち、退屈な期末試験を乗り越えた先にある長いようで短い夏休みの始まりで、胸を張って睡眠や遊びのみすることが正当化されるような怠惰な時間の始まりを意味しただろう。
今、夏が始まろうとしている際になってみても、嗚呼、夏が始まるナァ。という実感、ワクワク感のようなものが自分の内にないのはつまり、怠惰を軸に据えて生きてしまっているためであって、夏だからといって特別に何かあるという訳では無いからだろうナァ。
とはいえ、この様な自堕落な生活に溺れている事に引け目を感じている訳でもなく、むしろこの様な生き方によって生じた新たな人生観を歓迎したい。生活に必要な要素を欲望を根底に経験的に捉え直すことが出来るようになった。のかもしれない。
所詮は大学生活なんてものは退屈な受験勉強やらの後の長いようで短い夏休みなんだと思えるし、もっと言えば人生全体すらもそんなもんなんじゃないかと思うと結構楽しいですわ。たまには辛くて痛い刺激も脳味噌は望んでいるだろうし。
人生が夏休みだと思えるようになったその日から、夏が始まるんじゃないですかね。

その中で面白くない作品を観る時間もあっていいし、それに憤る時間があってもいいと思います。あ、今回の劇が面白くないという訳ではないです。

3年 舞台 野中

 


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劇団綺畸2017年度夏公演

『鴉神話』

作・演出 齋野直陽

6/8(木) 19:00

9(金) 19:00

10(土) 14:00/19:00

11(日) 14:00/19:00

駒場小空間

全席自由席

入場無料・カンパ制

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なつのはじまり

春だとまだ夜は寒いですが、夏は夜も暖かいですよね⁇
夏公演と言ってもまだ時期的には梅雨ぐらいかもしれませんが、その頃は夜も暖かくなっている気がします。
さいの作演の作品が始まると、夏が始まったなと思います。
最後の公演楽しみます!
是非観に来てください!

音響3年中山

 


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劇団綺畸2017年度夏公演

『鴉神話』

作・演出 齋野直陽

6/8(木) 19:00

9(金) 19:00

10(土) 14:00/19:00

11(日) 14:00/19:00

駒場小空間

全席自由席

入場無料・カンパ制

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5月の薔薇

あっという間に入団から一年経っててリアルに意味が分かりません。まさに光陰矢の如し。
この分だと、あっという間に引退なんだろうな、と少ししんみりしてしまいますね。

さて、今回のブログテーマは「夏の始まり」です。

夏の始まり。
夏の始まりっていつなんでしょうかね。月で言うと5月くらいには私はもう夏を感じ始めてワクワクするやら、うんざりするやら、といった心情なのですが。

5月といえば、中高生の時、5月の中旬頃に毎年部活で鎌倉文学館に行っていました。
検索して貰えば分かるんですが、鎌倉文学館には薔薇園があります。5月の半ばだと薔薇が満開で、それはそれは綺麗だった事をこの時期になると思い出します。

部活を引退してから行っていないんですが、なんと今度行く予定がたったので、久しぶりの薔薇園で夏の始まりを感じて来たいと思います。

そんな夏の始まりを感じまくろうとしているこの私が衣裳で参加する夏公演、ぜひ観にいらして下さい。
6月も半ばのこの劇団綺畸の夏公演が、皆様の夏の始まりを感じる一つになってくれればいいな、と思います。

衣裳2年 小島

 


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劇団綺畸2017年度夏公演

『鴉神話』

作・演出 齋野直陽

6/8(木) 19:00

9(金) 19:00

10(土) 14:00/19:00

11(日) 14:00/19:00

駒場小空間

全席自由席

入場無料・カンパ制

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今年の夏は…?

10年間ジャニオタやってると、

「夏=ツアー」ってイメージが強くて。

ツアーの開催とアルバムの発売が発表される

と、「あー、いよいよ夏が始まるのか〜」と

思いますね。今年はどちらも発表がまだ……

結成10周年なのに、「ええ…」って感じです

ねはい。まあ、なので私にとってはまだ夏は

始まりませんね。早く始まらないかな……

まあ、それと裏腹に執行代としての夏は始ま

りましたが。先輩方との最後の公演、後輩と

の最初の公演、最高のものにできるように

頑張りたいと思います。

2年照明 川崎

 


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劇団綺畸2017年度夏公演

『鴉神話』

作・演出 齋野直陽

6/8(木) 19:00

9(金) 19:00

10(土) 14:00/19:00

11(日) 14:00/19:00

駒場小空間

全席自由席

入場無料・カンパ制

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まぼろし


音楽を聴くのが好きです。移動中、作業中に、色々なものを聴いています。
色々、と言いましたが、一回ハマると同じ曲ばかり聴いている時期というのがあって。そういう曲は私の記憶と結びついて、それ以降聴くたびに、あの時こればっかり聴いていたなーと、当時のことを鮮明に思い出させてくれます。
この一年で幾つかの公演を経験しました。大学に入ってから始めた演劇はそれに関わる何もかもが新鮮で、全ての公演に抱えきれないほどの思い出があります。それと、気づけば毎公演、私の中には勝手にテーマソングのようなものが出来ていました。それは大体の場合公演の内容とは全く関係がなくて、その練習の行き帰りによく聴いていただけだったり、それこそその時期ハマってただけだったりするんですが。それらの曲は聴くたびに公演の思い出を、見ていたもの聞いていたもの感じていたことなんかを、私の元に運んできます。
たとえば新人公演の時に聴いていた曲は、役者と演出家とがみんなで仲良く練習をしていた、あの頃の稽古場に感じていた愛おしさのようなものを。冬公演の時に聴いていた曲は、みんなが練習する光景や、開けた窓から吹き込む風の冷たさを。そして夏合宿の時に劇中で歌った曲は、初めは悉く苦手だった班の三人の役者たちの、それでも、長い時間を過ごす内に、四人でいる時間が得難いものに変わっていったあの人たちの、楽しそうな笑い声や笑顔なんかを。聴き返すたびに私に思い起こさせてきます。
そんな感傷が始まったのはちょうど一年前の夏公演でした。まだお手伝い、という形でしたが、初めて関わった劇が全て終わった後。疲れ切って電車の席に座るなり、その時期好きだったある曲を聴きながら帰ったあの昼下がり。
一年。あれから一年経ちました。もう一年、という感じも、まだ一年、という感じもします。ずっと夢を見ていたような気すらします。が、とにかく、一年が経ったわけです。私は今でもあの曲を聴くたびに思い出します。あの電車の揺れを、あの時見た景色がキラキラしていたことを、あの日の肌にまとわりつくような暑さと湿気を。曲のイントロと同時に、あの空気がまた何度でも私を包んで、

どうやら、また、夏が始まる。


2年 役者・映像 栗原新奈

 


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劇団綺畸2017年度夏公演

『鴉神話』

作・演出 齋野直陽

6/8(木) 19:00

9(金) 19:00

10(土) 14:00/19:00

11(日) 14:00/19:00

駒場小空間

全席自由席

入場無料・カンパ制

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夏の始まりと終わり

生来がインドア派なので、「季節の終わりや始まりをふとした折りに感じた」みたいな経験が今まであまりなかったのですが、綺畸に入って舞台屋になってからというもの、嫌でも季節を感じます。
なにせ基本的に屋外で作業をするので、夏は暑いし冬は寒い。
どっちにしろあまり嬉しくない。

とはいえ偶には、嬉しくなくもないやり方で季節を感じます。
たとえば冬公演の叩き期間中、冬の夜の冷たい空気の中、少し向こうのベランダから聞こえてきたアコギの音と歌声は、やけに印象に残っています。
曲は「丸の内サディスティック」で、べつに大して上手かったわけではなく、つっかかるたびに少し戻って歌い直す、という感じだったのですが、椎名林檎とは似ても似つかないか細い歌声が、冷たく張り詰めた空気をかすかに揺らしながら伝わってくるようで、やけに惹かれました。

今日なんかも、ブログのネタがなんにも思いつかないまま気がついたら締め切り日になって、どうしようと思い悩むまま日も暮れかかった頃に、今年初めて聞く蝉の鳴き声が響き始めました。
夏の始まり。
そんな感じで、このブログを書き始めました。

蝉の鳴き声と共に始まった僕の今年の夏は、鴉の鳴き声とともに終わります。
新人公演とは違った苦しみ方をしているので、終わったときには違った感慨があるのかもしれない、という気がしています。
そんな感じです。

 

舞台・小道具 中石

 


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劇団綺畸2017年度夏公演

『鴉神話』

作・演出 齋野直陽

6/8(木) 19:00

9(金) 19:00

10(土) 14:00/19:00

11(日) 14:00/19:00

駒場小空間

全席自由席

入場無料・カンパ制

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守宮

母方の祖母の家が建て変わったのは6年前の、たしか初夏、だった。

覚えている限りでは、はじめて足を踏み入れたのは三歳とき。それから四五年間が空いて建てて替わる前の数年間――叔父がまだ独身だった頃や、祖母の家がまだ祖父母の家だった頃――私たち兄妹は頻繁に遊びに行っていた。

家に上がり手を洗うと、真っ先に仏間に行く。仏壇の隣には床の間があって季節ごとに掛軸が変わっていた。その片隅にはガラスケースに入れられた日本人形。窓辺の棚には何やらいかめしい香炉があった。仏間の端には叔父の結婚をきっかけに買った黒檀の卓が寄せられていて、大人数で食事をするときはその周りを囲んだ。小学校に上がる前によく仕事から帰ってきた叔父に遊んでもらったのも仏間だった。

仏間で手を合わせたあとは、台所でおやつを食べる。祖父母の家で出される林檎は蜜が多くてとても甘かった。お昼どきに行くと祖母が、夏には素麺、冬には鍋焼きうどんを作ってくれたものだった。壁に母の絵。カウンターの写真立てには、祖父母と私たち兄妹が旅行に行った時の写真。叔父が家庭を持ったあとは従弟の写真や叔父一家と写った写真もどんどん増えていった。

何か食べたあとは居間で祖父と、あるいは兄妹でテレビを観ながらくつろいでいた。柱には小さな振り子時計がある。ときおり、本当にときおりだったけれど、ボーン、ボーンと刻の数だけ鳴る時計だった。もっと小さかった頃には居間の炬燵で昼寝をさせられていた。私はなかなか寝付けずに、早く寝ないと灸するぞ、とおどされたのを覚えている。

くつろぐのに飽きたら応接間に行った。応接間は北向きで、夏場は少しひんやりしていた。アンティーク調のランプに、ガラスの卓。革張りのソファ。壁には鹿の頭や錦蛇の皮が飾られていて、そこだけヨーロッパの家みたいだった。応接間の隅にはかつて母が使っていたピアノ。触ってみたくて家でメヌエットの右手だけ覚えてみたり、ねこふんじゃったを練習してみたりした。どちらもものにはできなかったけれど。

応接間の隣には物置になったかつての母の部屋がある。開けるとすこし日陰の匂いがした。怪しげな箪笥が置いてあったり、雛人形やかき氷機がしまってあったり、表に出ないものの大方がそこにあった。

物置から仏間の端まで縁側のような廊下が続き、古ぼけた「冷蔵庫2号」がぽつんとあった。叔父のビールや私たちが出してもらったジュースはすべてそこからやって来くる。夏場に寝そべると黒鉄の風鈴がきこえる。

6歳か5歳かのときには2階でよくかくれんぼをしたものだった。2階にはベランダの他に祖父母の寝室と叔父の寝室とがあった。
叔父の寝室には母のものと思しき人魚姫のオルゴールと、うっすら埃のかかったランプとがあった。叔父のベットはスプリングがよくきいていて、隠れるのにはあまり向いていない。
祖父母の寝室にはたくさんの記念メダルやコイン。アテネトリノのずっと前、長野や札幌でオリンピックがあったことをそれらは教えてくれた。好奇心からのぞいてみた祖母のドレッサーからは白粉と香水の混ざった匂い。

* * * * *

叔父の結婚後も、隣市の中学校に通うようになってからも祖父母の家は形を変えない、親しい家であり続けた。

建て替えのきっかけは7年前の冬、祖父が亡くなったことだった。あまりにも急で、そこから先のことは中学生だった私にはよくわかっていない。ただ、祖父はもういないのだというどうしようもない事実と続いてくはずだった日々がぷっつりと途切れてしまった恐ろしさだけがあった。

以後として、時間がいつの間にか過ぎていく。そのめまぐるしさの中で、一人で暮らすことになった祖母と叔父一家とが同居することになったこと、祖母と小さい従弟とのどちらにも暮らしやすい家にした方がいいという話で進んでいったらしいこと、を聞いた。

* * * * *

そして6年前の初夏に話は戻る。建て替わった家に家族でお邪魔して食事をした。今もお盆やお正月にふたつの家族が集まって食事をする。

仏間はダイニングキッチンに、居間はダイニングに繋がった子供部屋兼リビングになった。母が使っていたピアノはダイニングに移った。従兄弟たちの誰かがピアノを習うのかもしれない。

新しい仏間はこぢんまりと、かつて応接間だったところにある。ソファをはじめとした応接間にあったものたちがどこに行ってしまったのか、私は知らない。新しい祖母の、叔父たちの家のどこにもないということの他は何も。2階がいまどうなっているのかも、どんな生活があるのかもやはり知らない。知らなくていいのだと思う。もう、そこは祖父母の家ではなくて、祖母の、いや、叔父叔母の、従兄弟たちの家だから。

初めて訪ねたときからおよそ18年が経った今年の1月、成人式の前にまた家族で集まった。下の従兄弟たちは祖父のことを知らないし、受験と上京で少し遠ざかった私のこともあまり覚えていないようだ。こうして、外からも内からも住み代わっていくのだろう。

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母から祖父母の家がある土地は、昔は洋服屋だったのだと聞いたことがある。その当時のことや、母がそこで暮らしていたことは想像すらできない。けれど、建物の形を変え、住む人を変え、確かに営みは続いていくのだろう。それぞれのやり方で、どこか似たような営みが。ソファが、地下室がなくなっても物置や手洗場の場所が変わらないのと同じように、いままでも、これから先も、ずっと。


役者・小道具2年 青本

 


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劇団綺畸2017年度夏公演

『鴉神話』

作・演出 齋野直陽

6/8(木) 19:00

9(金) 19:00

10(土) 14:00/19:00

11(日) 14:00/19:00

駒場小空間

全席自由席

入場無料・カンパ制

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