劇団綺畸稽古場ブログ

劇団綺畸は、東京大学と東京女子大学のインカレ演劇サークルです。名前の由来は「綺麗な畸形」。

まぼろし


音楽を聴くのが好きです。移動中、作業中に、色々なものを聴いています。
色々、と言いましたが、一回ハマると同じ曲ばかり聴いている時期というのがあって。そういう曲は私の記憶と結びついて、それ以降聴くたびに、あの時こればっかり聴いていたなーと、当時のことを鮮明に思い出させてくれます。
この一年で幾つかの公演を経験しました。大学に入ってから始めた演劇はそれに関わる何もかもが新鮮で、全ての公演に抱えきれないほどの思い出があります。それと、気づけば毎公演、私の中には勝手にテーマソングのようなものが出来ていました。それは大体の場合公演の内容とは全く関係がなくて、その練習の行き帰りによく聴いていただけだったり、それこそその時期ハマってただけだったりするんですが。それらの曲は聴くたびに公演の思い出を、見ていたもの聞いていたもの感じていたことなんかを、私の元に運んできます。
たとえば新人公演の時に聴いていた曲は、役者と演出家とがみんなで仲良く練習をしていた、あの頃の稽古場に感じていた愛おしさのようなものを。冬公演の時に聴いていた曲は、みんなが練習する光景や、開けた窓から吹き込む風の冷たさを。そして夏合宿の時に劇中で歌った曲は、初めは悉く苦手だった班の三人の役者たちの、それでも、長い時間を過ごす内に、四人でいる時間が得難いものに変わっていったあの人たちの、楽しそうな笑い声や笑顔なんかを。聴き返すたびに私に思い起こさせてきます。
そんな感傷が始まったのはちょうど一年前の夏公演でした。まだお手伝い、という形でしたが、初めて関わった劇が全て終わった後。疲れ切って電車の席に座るなり、その時期好きだったある曲を聴きながら帰ったあの昼下がり。
一年。あれから一年経ちました。もう一年、という感じも、まだ一年、という感じもします。ずっと夢を見ていたような気すらします。が、とにかく、一年が経ったわけです。私は今でもあの曲を聴くたびに思い出します。あの電車の揺れを、あの時見た景色がキラキラしていたことを、あの日の肌にまとわりつくような暑さと湿気を。曲のイントロと同時に、あの空気がまた何度でも私を包んで、

どうやら、また、夏が始まる。


2年 役者・映像 栗原新奈

 


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劇団綺畸2017年度夏公演

『鴉神話』

作・演出 齋野直陽

6/8(木) 19:00

9(金) 19:00

10(土) 14:00/19:00

11(日) 14:00/19:00

駒場小空間

全席自由席

入場無料・カンパ制

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