劇団綺畸稽古場ブログ

劇団綺畸は、東京大学と東京女子大学のインカレ演劇サークルです。名前の由来は「綺麗な畸形」。

届かなくていいよ

彼は中学時代のことを中々話してくれない。何があったかは知らないし何もなかったのかもしれない。彼が朝早く起きて、電車に揺られ、山の向こうの高校に通っていたことは知ってる。そこで凄く楽しい3年間を過ごしたことも知ってる。でも中学校のことはあまりよく知らない。
直接聞いたことはないけど、どうやら中から高まで好きだった人がいるらしい。私は彼のことをとっても好きで、彼がそれを嬉しいと笑ってくれて、次こそは幸せになりたいなぁみたいな感じで私のことを好いてくれるとしても、それがいつまでたっても100にはならないであろうことは確かで、名前も知らない彼女が彼の心の中から完全に消えることは決してない。彼女だけじゃない。彼が思いだしたくないくらい嫌いな彼を知っている人が私の知らない彼の過去にいて、彼がもがいていた時を一緒に走り、それは彼にとってとても恥ずかしいけど同時に簡単に言葉にできないくらいとても大事な人たちで、いつも彼の心の中にいて、彼の支えになっている。彼が私に何か言う必要もないくらいに強い支え。柱。頑張る気持ちのスタート地点。一体、彼らに勝てない私は彼女でいる資格があるのかしら。普段は思い出さないけれどたまに思い出して悲しい。それでも私は思うのです。私たちが出会う何年も前、何らかの形で恋が壊れ、きっと彼は傷ついた。けれどその時 だからもっとかっこいいヒーローみたいな男の子になるんだ って決めて起き上がった彼が当時とは比べ物にならないほどかっこよくなって、あの時から好きだった演劇を続けていて、何年も経った6月の駒場小空間で生き生きする。その姿は、早く来た夏みたいに眩しい。

 

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劇団綺畸2018年度夏公演
『竜骨の上で児戯』
作・演出 中石海
6/14(木) 19:00
15(金) 19:00
16(土) 14:00/19:00
駒場小空間
全席自由席
入場無料・カンパ制
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