劇団綺畸稽古場ブログ

劇団綺畸は、東京大学と東京女子大学のインカレ演劇サークルです。名前の由来は「綺麗な畸形」。

終演しました

終演しました。
ご来場くださった皆様、ありがとうございました。

今公演のブログテーマは「中学・高校の頃の話」だったのですが、僕は作演のくせに全然テーマと関係ないブログを書いてしまったので、ここでちょっとだけ書きます。

「書きます」と言っても、書くべきことはあんまりない。
中高6年間の僕は、恋にも部活にも勉強にも全く励んでいなかった。
恋愛なんてほんとに一切なかったし、部活はめんどくさくてほとんどいかなかったし、勉強したのは試験前の1週間だけだった。
いっそ逆の方向に振り切って、ずっとひきこもって不登校やってて、友達なんてひとりもいなかった、なんて感じなら、まだその方が個性になったのかもしれないけど、学校にはちゃんと通っていて、教室でだべる相手も普通にいた。
まあなんというか、良い方向にも悪い方向にも突き抜けてないけど、良いか悪いかで言えば地味に悪い、みたいな、だいぶつまらん6年間を過ごしていたわけです。

で、そんな僕が劇団綺畸というサークルに入ったのには、大した理由が全くない。
それまで演劇なんて一度も観たことなかったのに、「大学入ったら演劇やろう」というのだけがなぜかあって、東大にあるいくつかの演劇サークルの中から綺畸を選んだ理由も、はっきりとはわからない。

だから、なんだかちょっとでき過ぎているんじゃないか、という気がします。
自分が脚本を書いて、何人もの劇団員と話し合って、衝突したり和解したりしながら、なんやかんやひとつの劇ができあがる。
そしてその劇を何百人もの人が観に来て、賞賛したり批判したり、中には感動する人さえいる。
なんだかちょっとでき過ぎている。
自分はすごく幸運なのだと思う。

幸運だと思うことがもうひとつ。
自分が好きだと思えるものを一生懸命つくることはできても、そうして出来上がったものを自分以外の人も好きになってくれるかどうかは、結局のところ全くわからない。
そこにあるのは、「自分はこんなにも好きなんだから、他の人もきっと好きなはず」という片思いじみた願望ばかりで、だからこそその成就は、幸運という以外に呼びようがないのだと思います。

引退します。
何の悔いもないです。
というか、これで何かを悔いていたらバチが当たる。
改めて、ご来場くださった皆様、それから、今まで一緒に演劇をやってきた劇団綺畸の皆、本当にありがとうございました。


作・演出
中石海