私の通っていた高校には毎年10月に、およそ70㎞を2日間かけて、ただただ歩く学校行事があります。名前もそのまま「歩く会」
朝から夜中まで歩いて、5時間ほどの仮眠をとって、夜が明けるまえに再びスタートします。
まあ今考えても、そこそこしんどいイベントだったのですが、なんやかんや嫌いになれないんですよね。
特に印象に残っているのは、高校3年生の最後の歩く会。
この行事で歩くルートは毎年変わるのですが、その年は私が住んでいる地域の近くを通るものでした。
散々子供時代に遊んだ海岸線や、車からよく眺めていた見知った道を、私の幼い頃なんて全然知るわけもない友人たちと一緒に歩いているのです。なんだか不思議な気分でしたが、とにかく楽しかったです。3回目で慣れていたのもあるのでしょうか。
夕方になり、私たちは「海門橋」と呼ばれる橋にさしかかりました。橋長400mを超え、幅員も10m近くある大きな橋です。朱色に塗装されていて遠くからも目立ちます。
勿論、それは私にとってはよく見知った風景な筈なのです。ですが、その日見たそれは今までとは全く違うものでした。
日が沈み紫に染まる西の空と、黒々とした東の海を背景に、真っ赤な橋を列をなして渡る人々。手に持つ懐中電灯の光が帯のようになって輝いていました。
私は潮風に吹かれながら、そんな景色を列の後ろからぼんやりと眺めていました。
「多分、その情景はこれから先忘れることがないのだろうなぁ」とか思いながら。
……とか書いてはみるものの、この景色は自分の記憶の中にしかないわけでして、恐らくは私にしかわからないですし、何なら私自身もこの記憶が本物だったのかどうかわからないんです。
実際の景色はもっと色褪せて、つまらないものだったのかもしれないし、10年後には全く違うものになってしまっているかもしれません。
でも、「思い出」って案外そんなものでいいんじゃないかなって思うんです。
冬公演に向けて、必死に走っている今もいい「思い出」になると信じています。
是非、ご期待ください。
舞台 2年 藤枝
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劇団綺畸2018年度冬公演
『ふれろ』
作・演出 中村光汰
12/20(木) 19:00
21(金) 19:00
22(土) 14:00/19:00
23(日) 14:00/19:00
於 駒場小空間
予約制・無料(カンパ制)
全席自由席
予約フォーム(藤枝扱い)↓
https://www.quartet-online.net/ticket/kiki18fuyu?m=0kdidhj
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