劇団綺畸稽古場ブログ

劇団綺畸は、東京大学と東京女子大学のインカレ演劇サークルです。名前の由来は「綺麗な畸形」。

りんりんるららとあめよふれ、あるいはシミュレーション仮説に関する決定論的一解釈

雨。
薄く。脆く。はりつく。
泣かないで。

(゚Д゚)

大概のものには上限がある。
仏の顔は3度まで。ウルトラマンは3分まで。手持ちポケモンは6匹までだし、マリオの残機は100人まで。

上限はいつだって、大人の都合で設けられる。ウルトラマンの活動限界は、撮影費の節約らしい。


ところで、アインシュタインによれば、この宇宙ではいかなる存在も光より速く動くことはない。
どうせまた、誰かの都合なのだろう。誰か、というか、それは「神様」と呼ばれたりする。
神様が、作品をつくるにあたって定めた上限。速度は毎秒30万キロメートルまで。

(゚Д゚)

では、神様につくられた「これ」は、一体何。


誰かは、人生はコンピュータゲームであると言う。基本プレイ無料。説明書なし。キャラクターの性能は運次第。遊び方は、君が決めろ。

もしもこれがゲームだとすると、物体が光速を超えられないのは動作環境の問題である。オブジェクトの挙動がCPUの限界を超えれば、世界はたちまち処理落ちしてしまう、とかなんとか。

そういえば。量子力学では、粒子の状態は観測するまで確定することはなく、また観測した瞬間に確定するとされる。
一方。ゲームのキャラクターは、画面上に現れるまではただそこにあるデータであり、視界に入った瞬間から動きだす。
なんだか似ている、気もする。

(゚Д゚)

記憶を辿ると、ゲームをする僕の傍にはいつも攻略本があったように思う。小さな世界の全てが記された書物に、そしてそれがもたらす万能感に、僕は依存していた。

だから僕は、これがゲームだと、とても困る。不親切がすぎる。
何か、他の可能性は。

(゚Д゚)

そうだ、これは一本の演劇かもしれない。

舞台を壊したら、舞台監督に怒られる。衣裳が破れたら、衣裳さんに迷惑がかかる。怪我をするのは論外だ。だから、速度に上限をつけた。
照明の当たらないところは、観客には見えない。ライトアップされて、そこに空間が出現する。そんなお約束に、粒子たちも従っている。
二重スリットだって、量子もつれだって、説明のつかない現象は全て、神様のつけた演出のせいにしてしまえばいい。


この世界は、大きな大きな舞台。


神様の戯曲をなぞる演者たち。タイトルは、「シュレーディンガー方程式」。
そこには、世界の全てが記されていて。
だけど7日間で書き上げられたストーリーは、粗が目立つ。


僕は下手な役者。

(゚Д゚)

「好きな作品について語れ」と言われた。思い浮かばなかった。こんな小さな舞台ですら、認識される自己の一切を見知らぬ誰かの空想に委ねる、その勇気が出なかった。
好きになったことならある。ただ僕は嫌われた。それでも嫌うことができない幼稚な心を、小難しい負け惜しみで塗り固めなければならないほど、羞恥心に蝕まれていた。
作品と呼ばれるものだって触れてきた。絵も文章も音楽すら感動はくれなかった。映画館、空間に飲まれ涙を絞り出そうとする自分を見つけては、感性の貧しさに泣いた。
語るたび嫌われると悟ったあの日。試しに一日黙ってみた。外へと働きかけることをやめ、表現することをやめた対価として得た無感動な安定は、むしろ心地がよかった。


まるで向いてない。


上手くなりたいの。

(゚Д゚)

大概のものには上限がある。
上演は1度きり。
神様の呪いか、あるいは祈りかも。

もうちょっといい役が欲しかったな。
こんな劇でも、今はちょっと好き。

(゚Д゚)

 

(゚Д゚)

 

(゚Д゚) ……!

むかしNHKの「おかあさんといっしょ」でやっていた、「あめふりりんちゃん」という歌が好きです。りんりん。

 

 

 

 

 

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劇団綺畸2017年度冬公演

『ダイアローグは眠れない』

作・演出 中石海

12/15(金) 19:00
16(土) 14:00/19:00
17(日) 13:00/18:00

駒場小空間

全席自由席

入場無料・カンパ制

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