劇団綺畸稽古場ブログ

劇団綺畸は、東京大学と東京女子大学のインカレ演劇サークルです。名前の由来は「綺麗な畸形」。

食用かまきり

人間をたからもの認定するのはよくないという話です。

 

 

 

一緒に暮らしていた今は亡き祖母は、時折わたしのことをたからものだと言っていました。おじいちゃんおばあちゃんとかからだったら言われたことある人結構いるんじゃないですか? 

 

 

ない? 、そっかあ〜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………幼少から祖母が亡くなった年の17歳の夏まで、それを言われる度ずっと違和感を拭えなくて。

 

 

 

 

自分がしたことは絶対に相手のためになると思っている人でした。

 

 

無自覚に見返りを求め続けられるのはなかなか辛いものがあります。

 

 

 

 

 

 

なんで祖母の自分が授業参観に来ても自分の娘の時と違って振り向いて手を振り子供らしく喜びを示さないのか。なんでわざわざ記名をしてあげているのにお礼を言わないのか。なんで母親代わりをしてやっているのにこんなに自分は報われないのか。なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで。なんで。なんで。なんで。なんでなんでなんでなんでなんで。なんで。なんで。なんでなんでなん。でなんでなんで。なんでなんでなんでなんでなんで。なんでなんで。なんで。

 

 

 

機嫌の良い時は たからもの よ。

 

 

 

 

だって私は親が見に来ているからという理由ではりきる他の子のようにしないといつもああなの?と帰ってきて言われるのが嫌だったし、なんでもかんでも見える位置に名前を勝手に書かれるのも嫌だったし、いないのが当たり前の存在を自分の意思で代行しようとしているのに都合が悪くなると当たり散らされるのも嫌だったんです。今だったらもう少し折り合いをつけられるかもしれません。

 

 

 

なんで、と言われる度に私もなんで、と思っていました。祖母が喜びそうなことを実験的に行っている時だけあなたは私のたからものよ、と言ってくるから、ただの、平常通りの私では彼女のたからものではないと気がつきました。

 

 

 

 

おばあちゃんは、私に授業参観に来てくれたら笑顔で手を振って、してくれたことにはなんでもありがとう!って素直に言って、お母さんにするように甘える、そういう素直でかわいい理想のたからものでいてほしかったんだね。

 

 

 

 

 

 

たからもの、というテーマが投げられて思いつくものはなにもなくて、ただこの記憶が蘇りました。

 

大切な人やものはたくさんあるんですが、このワードには反応の鈍い私でした。

 

 

⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰

劇団綺畸2021年度夏公演

 

『勿忘草』

作・演出 西山珠生

 

7月上旬配信予定

⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰