劇団綺畸稽古場ブログ

劇団綺畸は、東京大学と東京女子大学のインカレ演劇サークルです。名前の由来は「綺麗な畸形」。

僕の「たからもの」

さて、以前、前編として、「たからもの」と「宝物」、について書きました。

 

そこで、今度は後編として、僕にとっての「たからもの」についてつらつらと書いていきたいな、と思います。

 

これまでの約20年の人生を振り返ってみて、「たからもの」と言って良いほどのものってどのくらいあるだろう、と考えた時に、ふたつほど思い浮かぶものがあったので、それについてお話させてもらいます。

 

前提として、僕にはかなりのコレクター気質がありまして、何かが揃っていることに喜びを覚えたり、逆に揃っていないと気持ち悪さを感じたり、ということが往々にしてあります。その中で、自分がいいと思ったものを揃える欲求というのが、僕の中に確かな強度を持って存在しています。

 

そんな僕が幼少期に「たからもの」のようにコレクションしたものというのが、石ころです。

 

当時僕の通っていた保育園のすぐそばには神社があり、保育園から帰る度に、ひとつだけ良さげな石を持ち帰り、帰ったら勉強机の引き出しにしまう、ということを繰り返していました。

 

今振り返るとどうしてそんなことをしていたのか検討もつきませんし、何に魅力を感じていたのかも全く理解できません。つるつるした丸っこい石がお気に入りの系統だったような記憶もあるのですが、何やら美しさでも感じていたのでしょうか。当時の僕に聞いてみない限り解決しない問題です。

 

このコレクションについては、小学校に上がってしばらくしてから母親に発見され、軒並み捨てられてしまったのですが、僕に収集の楽しさを教えてくれた原初体験だったようにも思います。

 

その後成長した僕が、再び収集に目覚めるのは、中学生の頃でした。

 

そして、その時から今まで続く「たからもの」となったのが、本棚です。

 

この頃、それまでも好きだったのですが、自分は読書や漫画鑑賞が趣味なのだと本格的に意識するようになりました。同時におこづかい制度がわが家に導入されたため、毎月おこづかいをもらうたび好きな作家の既刊を買い集め、お年玉などの大きな収入が入れば、それもまた、ほぼ全額本を集めることに使いました。

 

実家を離れる際には渋々ながら厳選した本たちを下宿先に移植し、また、今でもバイト代の大半は本の収集に充てられています。

 

こうして構築した本棚が「たからもの」たり得る理由として、まず第一に、紙の本という存在自体が好きなことは間違いなくあるでしょう。物質として存在する重み、新刊のインクの香り、古本独特のほんのり匂うカビ臭さ、並び立つ背表紙、そのすべてが僕の愛着の対象です。

 

しかしながら、約5年の積み重ねの中で、本棚の持つ意味合いがより複雑になったことも、「たからもの」であるために重要ではないかとも思うのです。

 

それは、経過した月日の中の思い出やエピソードが本と一緒に記憶されているということです。一冊一冊の本に対し、感想を持つとともに、それとは別の思い出があるのです。どんな時に買ったとか、誰に紹介された本だとか、それぞれの本に結びつけられた記憶が、より本棚全体への思い入れを深めているように思います。この思い出たちは、これからもきっと増え続けていくのでしょう。

 

また、本棚に未知が溢れているということも重要です。僕の本棚は半分以上が未読本であり、その割合は増え続けています。買った本を読めていないのに新しい本を買ってしまうのは本好きの悲しい性だと思います(笑)。その未読本が、僕をこの世に留めてくれていると言っても過言ではありません。本棚にある本たちを読み切るまでは、死んでも死にきれないのです。

 

「君の本棚を見せてくれ。君がどんな人間か言い当てて見せよう。」という名言がありますが、本棚の所有者にしてみれば、本棚は鏡以上の存在なのだろうと思います。死ぬのなら本棚に押しつぶされて死にたいですね。

 

 

……ちょっと、というかだいぶ痛そうなのでやっぱ嫌かも。理想の死因第3位くらいかな、別に1位と2位を考えてるわけじゃないけど。

 

以上、そろそろ既設の本棚が溢れそうな僕の「たからもの」でした。書きたいことをだらだら書いただけなので、多分非常に読みづらいし、「結局何が言いたいんだこいつ、自分語りしてるだけじゃん」ってなったと思います。ごめんなさい。それでもここまで読んで下さったあなたに、精いっぱいの感謝を。

 

それではそれでは。ご高覧いただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

……新しい本棚欲しいな。

 

 

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劇団綺畸2021年度夏公演

 

『勿忘草』

作・演出 西山珠生

 

7月上旬配信予定

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