劇団綺畸稽古場ブログ

劇団綺畸は、東京大学と東京女子大学のインカレ演劇サークルです。名前の由来は「綺麗な畸形」。

そのすべてを好きになりたいのに

んー、また難しいテーマですよね。半分好きで半分嫌いなものって。わたしは、ふだん今日のご飯がなんだろうってことしか興味を持ってないないような思索の浅いごくごく小さな人間なので、頭の中に点々と思い浮かぶ「半分好きで半分嫌いそうなもの(仮)」の中から、答えを見つけることが出来なかったんですよね。なので、ぜったいに揺るぐことない好きなものから考えることにしました。ところが、思いつきません。まさか、ブログのテーマひとつで自分のキャラの薄さ、人間としてのつまらなさを痛感するとは思わなかったのですが。わたしは元来、気が多い人間でした。色んなことに興味を持っては、色んなことに飽きてきた。結局、ぶつける場所のない「すき」っていうデカい感情を希釈させて、あっちこっちにばらまいていただけなんですよね。わたしの「すき 」は全部蒸発しちゃった。それに、私の「すき」って今までの中の人生で全部「きらい」に裏返っちゃうんですよね。「すき」の反対は無関心だっていういかにもらしい反論は置いといて。オセロ激弱なわたしみたいに、それはもう簡単に全部黒にされちゃう。人でもモノでも。私しか好きじゃないって思ってたミュージシャンがTikTokでバズると冷めちゃうし。私が人を「すき」になると、その人が、私じゃない別の誰かに恋する呪いにかかってるし。結局、私が片思いと名付けた「すき」って感情は自分で消化しないといけない。2日目のカレーみたいな胃に優しくない味のするそれは、私は嫌いだ。別にそれがいいか悪いかは置いといて。私が「すき」になった瞬間、将来キライになることが確定しちゃうんです。こんなに悲しいことってないですよね。だから、幸せな結婚を遂げたカップルとか、なにかに熱狂的であり続けるファンって羨ましいし、ちょっとジェラシーだったりする。私だって、そのすべてをずっと好きでありたい、自分の全てを投げ打っててでも応援したい、だれかに好きになってもらいたい、わたしにだってシンデレラストーリーが訪れてもいいじゃあないか。そんなことを思いながら、オムライスを口に含む。口の中でとろけるそれは私に幸せとは何たるかを耳に囁くように、はたまた子守り唄を歌うように語りかけてくれる。荒んで、ささくれだらけの心を包み込むように優しい。あっ、みつけた、私のずっと好きなもの。オムライス。もう、いっその事、オムライスと両思いになれたらな。

 

(文責:ひみつ)