劇団綺畸稽古場ブログ

劇団綺畸は、東京大学と東京女子大学のインカレ演劇サークルです。名前の由来は「綺麗な畸形」。

彗星に乗って彼方へ!!!

『彗星に乗って彼方へ』の演出をしました川口円楽です。

新人公演で1公演キャパ70人という生意気な客席数にしてしまいましたが、それがほぼ満席になるくらいたくさんのお客様に観に来ていただき本当に嬉しかったです。ありがとうございました。

ありきたりな言葉になってしまいますが、とにかく愛のあふれた公演になりました。そりゃあどの公演も愛にあふれたものになっていたのでしょうが、今回すごくそれを体感しました。おかげで次の公演からも頑張れます。
新人公演ということもあり、絶対にいいものにしようとみんながみんな考えていたと思います。
だからこその舞台でしたし、だからこその公演中止でした。

3/18の公演にお越しくださるはずだったお客様、本当に申し訳ありませんでした。
公演を中止することはもちろん苦渋の決断でした。しかし、団員たちの満足度、今まで稽古してきたものと違う演出でやる意味、怪我の様子、いつもの60%程のものをお客様にお見せすることから考え、ここで終わるのが新人公演であるとしてもあまり後悔はありませんでした。

公演中止が決まった後、団員たちはみんなが楽しくこの新人公演を終えることができることをなにより考えて過ごしました。実際、楽しかったし、いい公演だったなと思っています。それこそ愛にあふれていたなと思います。

演出としてのわたしの話をさせていただきます。
この公演は、お互いがお互いを支えたし、お互いがお互いを頑張らせた公演でした。
いつもより早めの作演決めを行い、普段は1ヶ月の稽古時間を2ヶ月に伸ばし、なにか勢いを感じ「いける!」と思いましたが、まあそう易々と出来上がるわけもなく。

初めて求められる演技体にどうしていいか分からず、脚本とのすり合わせもなかなかうまくいかず、毎朝電車で、今日は何をしよう、今日はどうやって伝えようと考えていました。(実は、当初は野田秀樹作品のようなものを目指していたのです。笑)

稽古場では、昨日わかったと思ったものが次の日みたら「ん〜〜?」となったり、音響・照明さんと一度プランを立てた後も本当にこれでいいのか?と思ったり。なにか納得のいかないまま駒場小空間で練習する、本番1週間前に突入してしまいました。

しかしあら不思議。駒場小空間での練習に入り、舞台・衣装・音響・照明などが加わった途端、作ってきたものの意味がわかった気がしました。これでよかったのかもしれない、最大限できてると思いました。

本番はお客様が笑ってくださり、とても嬉しかったです。稽古場では、笑ってくれる人がなかなかいないので、こちらも楽しくなってしまい、途中舞台裏がわちゃわちゃした部分もありましたが、なんとか2公演、上演することができました。
自分がおもしろいと思ったものをこういうふうに共有できるのはとても不思議な充実した感覚でした。

今回の公演を通して、自分が気づいたことを少し書かせてください。

今回演出をしてみて、自分が観てきたものがすごく自分の出力に影響を与えているのだと気づきました。
千秋楽の次の日に、なんとなく前に金曜ロードショーでやってた『千と千尋の神隠し』を観ました。観てる途中でふと、「大臣たちがお蛙様をもてなすところでやりたかったのはこういうかんじだったのかも」と気付きました。蛙ということもあったかもしれませんが、ヨーロッパの宮廷ではなく、日本っぽい宮廷をイメージする照明、音楽をお願いしたのはそこから来てたのかなーと。

また、マントでお蛙様の時とサラリーマンの時を区別するのは劇団四季の『ノートルダムの鐘』のカジモドに、カエルの歌を円になって歌う時のイメージは『ハウルの動く城』の妖精?がハウルの周りを回るシーンに憧れたから真似しました。

これまで観たものが自分の考えることにとてつもなく影響を与えていること、何かを作るということは真似から始まること、0から1を作り出すということのすごさなどに身をもって気づきました。
これからもっとたくさんのものを観て、体験して活かせたらいいなと思いました。

終わり方がわからないので急になってしまいますが、次回公演は、22代と23代による最後の公演です。
22.23代の集大成をお見せできる公演になると思います。次回公演もぜひご期待ください!
そして、新人公演、これまでの公演の映像配信もぜひご覧ください!

長くなりましたが、これで終わろうと思います。ありがとうございました。

Travel to distance unknown

ブログをご覧いただきありがとうございます!役者セクションチーフです。

今回の公演は、綺畸の役者にとって、まさに未知への挑戦といったものになっていた様に思います。

今までの劇と目指す演技体も異なれば、舞台構造も特殊でお客様との距離も近く、兼役に兼役を重ね、果ては歌ったり踊ったり(?)と言った具合で、難しくも最高に楽しい稽古場でした。

特殊な戯曲を相手に、演出の川口を中心に、どうすれば面白く良い劇になるかを各々が必死に考え、稽古場の外でも試行錯誤を繰り返していく2カ月を通して、自分がどんな役者なのか、他の綺畸の役者がどんな役者なのかを少しずつ知っていき全員が役者として成長していきました。

どんな劇よりも近くに、そしてまさに四方八方にお客様がいて、笑ってくれたり驚いてくれたりする。そんな良い緊張感の中でそれの影響を受けつつ演技をする。そんな公演に出られて幸せでした。

そんな公演の力強さ、明るさ、楽しさはきっと映像でも伝わると思います。
本公演は映像配信も致しますので、まだ見ていない方、もう一度見たい方はぜひご覧ください!

変形舞台でした

はじめまして。本公演で舞台美術をつとめた者です。この終演ブログでは、今回の舞台を作っているときになんとなく考えていたことを書いていきます。

今回の舞台は、真ん中に客席があってそれを囲むように環状の舞台、さらにそれを囲む客席という変形舞台でした。サッカースタジアムの真ん中にも客席がある、みたいな感じです。
舞台に囲まれた真ん中の客席は、四方八方で繰り広げられる劇を自分で回りながら観る必要があるので大変だったと思います。ただ、自分の上空を会話が飛び交ったり、同時に進行する二つの筋書きのうち片方しか視覚に入れられず、認識の外で進んでいく物語があったり、なかなかない観劇経験になったのではないでしょうか。
通常は舞台と客席は離れていますが、今回は舞台と客席が0距離となる設計をしました。と言うのも、ぐるぐる走り回ったり、ラインダンスやスローモーションなど、役者がその身体を大きく使う演出であったので、その動きを近くで体験してほしいと思ったからです。ストップモーションなどの役者の息づかいとかも感じていただけていたらうれしいです。

お客さんから限りなく近い舞台を作ろうとしました。舞台を囲む客席からは劇と同時に真ん中の客席も見えます。視覚のなかで劇と現実が一緒に存在するということは一見虚構と現実の境目が曖昧になるようですが、真ん中の席のお客さんの動きが物語の動きとずれていることでかえって舞台と客席に強い断絶が生まれたように思います。断絶を意識しながらも演技をする役者の動きを間近で感じる、という拮抗があるようです。演劇を「観る」というよりも、「観る経験をする」という感じでしょうか。

結局のところ、私は今回の動的な演出がとても好きでした。わくわくしました。そのわくわくをお客さんにも共有したい。ただ「おもれー」と思って劇を観る以上の経験が生み出せればいいな、と思ってました。

ご来場の皆さま、誠にありがとうございました。映像配信もするようなので、そちらもぜひ。

とりとめのない文章をここまで読んでくださり、ありがとうございました。お疲れさまでした。

 

照明の小屋入り

こんにちは、照明です。

新人公演「彗星に乗って彼方へ」、見ていただけたでしょうか。楽しんでもらえたでしょうか。私はすごく楽しかったです。

今回の照明で何よりも難しかったのは役者の顔がどの席でもしっかりと見えるような明かりを作ることだったと思っています。来てくださった方には分かると思うのですが、今回は舞台が特殊でした。初めての囲み舞台で、真ん中にも客席があり、プランを作る所から小屋入りの3日目ぐらいまでは全くゴールが見えず不安だらけだった事を覚えています。さらに今回は様々な色を使用したり大きな変化をつけたりする照明に挑戦できる舞台でした。分からないことが多くバタバタと忙しい小屋入りでしたが、先輩方の力を最大限にお借りして、同期たちの支えと頑張りで、完璧には届かなくてもなんとか形にすることができたのではないかと思います。

私は今回オペを担当していたので、場稽古から本番まで役者の上手な演技に毎回笑わせてもらいながら、真剣な話し合いに私も頑張ろうと思わせてもらいながら、近くで一緒に劇を作ることが出来たのが嬉しかったです。最初の通しを見た時から自信を持って今回の新人公演は面白い!と感じられた、そんな演劇に関わることが出来たことを幸せに思います。ご来場いただいた皆様、お手伝いに来てくださった皆様、本当にありがとうございました。オペで手が震えていたのは恐らく誰にもバレていなかったと私は信じています。


次回のブログは舞台です。お楽しみに!

音響と彼方へ、終演。

こんにちは、音響です。

いや〜〜〜新公終わっちゃいましたね。本当に本当に楽しかったです。調光室から見ていると、観客の皆様が楽しんでくださっているのが伝わってきてとても嬉しかったです。因みに、「音楽お願いできるかしら」のシーンでは調光室にいた5人でOKサインを作っていたり、観客の皆様が舞台上から一段降りるタイミングに合わせてカエルの音を流していたりしたのですが、お気づきになった方はいらっしゃるのでしょうか。

しかし、正直、先輩のいない初めての公演は不安で不安で仕方ありませんでした。特に22代音響チーフは音の魔術師と呼ばれるほど高い技術を持っている方なので、今回は音響のパワーがガタ落ちしたくらいの心持ちでいました。私はエンジニアという役職で音源を加工することが主な役目だったわけですが、ソフトをいじり慣れていないため四六時中?を飛ばしていました。何時間も格闘したのに先輩に助けてもらったら数分で解決したなんてことも数えきれないほどです。

でも、出来ることが増えていくのってすごく楽しいです。ある程度思うようにソフトをいじれるようになって、集中して作業できるようになって、自分のスキルアップをとてもとても実感しました。また、それと共に自身の勉強不足を実感したので現在は音楽理論を学んでいるところです。きっと習得するまでには数年かかってしまいますが、めげずに少しずつ知識を増やしていきます。

きっかけ会議の後に大幅な脚本修正があったり、ゲネ前日まできっかけが変更しまくっていたりと、他の音響員も大変そうでした。でも私に限らず音響員全員が今までで1番イキイキとして活動できたのがこの新公だったように感じます。

ただ、先輩に比べたらまだまだ私たちなんて豆粒みたいなものです。先輩が卒団してしまっても「綺畸の音響はレベルが落ちたな」なんて言われないように、日々精進してまいります。今後とも劇団綺畸を、ひいては音響をよろしくお願いいたします。

終演ブログ 衣裳

こんにちは衣裳です。

新人公演を観劇してくださった皆様、ありがとうございました!!
最終日が中止になってしまい観劇できなかった方もいらっしゃると思いますが、映像配信がございますのでぜひそちらを見ていただけると嬉しいです!

今回は登場人物がとても多く、用意する衣裳の数がかなり多いという事態がおきていました。

それに加えて、ものすごく短時間での衣裳替えや裁縫など今までやったことのないことをたくさん取り組んだので、「挑戦」の公演になったと思っています。

衣裳替えに関して、今回は短時間でやらなければいけないということもあり、初めて衣裳の人間も舞台袖に待機してたんですよ!なのでとても緊張しました…

裁縫に関して、今回はお蛙様のマントの作成、謎ガール(紫の服を着ていた女の子)の衣裳の装飾、野球のユニフォームの装飾をしました。
映像配信で特に見ていただきたい衣裳たちです!


総じて学びの多い公演でした!次回の公演はこの学びを生かしつつ、より楽しみたいなと!

これからも劇団綺畸をよろしくお願いします!!

次回のブログは音響セクションです♪

感謝!

こんにちは、宣伝美術セクションです!

本公演では、宣伝美術セクションは仮チラシ・フライヤー・立て看板・付録・当日パンフレット・ひさし看板・小立ての作成や、ゲネ(リハーサル)での写真撮影を担当しました。とは言っても、今振り返ってみれば、これらの制作物は宣伝美術セクションの成果物というより、同期である新人の皆に助けられて作れたものだなと強く感じます。

看板は前回に引き続き、印刷ではなく塗りの看板に挑戦しました。下書きをして、色を作って、背景を塗って、文字の下書きをして、文字を丁寧になぞって……と、塗りの看板はかなりの工程があります。

塗りの看板を作っている様子

ですが、少し声をかけてみたら、色々なセクションから沢山の新人がお手伝いに来てくれました。作業が進んだだけではなく、同期と更に仲を深めるきっかけにもなりました。ちなみに、看板にある"Travel to the distant unknown"という英題も、劇団員の数名に考えてもらいました。

また、完成した看板を展示するにあたって、中道具等を作り慣れた舞台さんがアドバイスをくれたり、看板を照らすための明かりを照明さんが取り付けてくれたりしました。
お手伝いさんや協力してくれた他セクション、看板の写真を撮影し、SNSに載せてくれた劇団員にも感謝の気持ちでいっぱいです。

このときは衣裳・照明セクションからお手伝いさんが来てくれました

こうして多くの協力を得ながら、多くのチャレンジが出来た新人公演。私たちにとっても成長できた機会でしたし、観た方にとっても新しい、はじめての感覚を味わってもらえるような劇になっていると思います。

SNSに掲載されている私達の制作物とあわせて、公開予定の公演映像をぜひお楽しみください!