劇団綺畸2025年度新人公演「手続きが終わらない!」の作・演出を務めさせていただきました池田と申します。
中長編の演劇の脚本を執筆すること、演出をつけることなんて初めての経験でした。ですから当然終演ブログなるものを書いたこともなく、何を書けばいいのか正直さっぱりわかりません。…とも言っていられないので今回は、各セクションについて(制作は割愛させていただきますが、縁の下で本当に頑張ってくれました、たくさん感謝)私が印象に残っていること、裏話のようなことなどを書こうと思います。
追記:照明までは耐えましたが、音響あたりからネタバレが含まれます。
役者
こう動くと面白いんじゃないか、迫力が出るのではないかということを、役者間で試行錯誤していました。役者が稽古のなかで脚本に書かれているわけではない動きをして、それがとても面白かったので逆輸入的に取り入れたシーンも結構あるんですよね。脚本を書くだけではぼんやりしていたものが、彼らが動くことで発展して形となった感じがあります。ただでさえ少人数で60分超えの台詞量であり、完本の遅れがあったにも関わらず、本当によく頑張ってくれました。この劇の演技面でのクオリティを引っ張っていったのは、間違いなく彼ら一人ひとりがこれまで綺畸で培った実力です。
舞台
窓口以外にも場所がころころと変わる劇だったこともあり、生意気にも大きなレベルも舞台装置もない囲みヒラ舞台というわりと攻めたものになりました。
脚本の考案当初は、そこまで動きのない窓口カウンターでの会話がメインとなる話の予定でした。単に劇場を舞台面客面の半分に分けるだけでは没入感に欠けるということで、囲み舞台にしてみてはどうか?との助言をいただき、舞台の素案ができました。実際には全く誰もじっとしていない脚本が完成したわけですが、今回の舞台の奥行きや客席との距離の近さをなるべく有効活用できるように意識しています。
照明
ぎゃんぎゃんでしたね。大好き。すみません、語彙力が低下しました。それくらい楽しい照明演出だったのです…。
大学から綺畸で演劇を始めて素敵だと思ったことのひとつは、役者だけが輝くのではなく、それぞれのスタッフワークがこんなにも劇の空気を左右するのだということです。いい意味で全部主役なんですよね。だから今回の劇でも、スタッフワークの腕の見せどころを作りたいという思いがありました。階段を走るシーンのころがし、例のあいつが突然出てきてあれするシーン、あの人があれ持って近づいてくるシーン(ネタバレ防止)、ラストの色味などなど、照明のお気に入りのシーン挙げたらキリがありません。わたくしの突拍子もない案を実現し、なんなら更によくしてくれた照明員、ありがとう。
音響
とにかく今回は音の数が多かった音響セクション。優秀な音選びとオペ(劇中で音を操作すること)のおかげで、ただでさえとんちんかんなこのお話をよりカオスに、そして妙なリアリティをもってお届けすることができたかと思います。
音響で個人的に印象が強いのは、やはり人喰いマイナカードがお客さんを食べる音ですね。正直書いた時点ではどんな音なのか想像できていなかったので、劇場で初めてこれが流れたとき震え上がりました。あれもう完全に骨からばりばりいかれています。こわすぎ。書いたのは自分なのですが、ここで恐ろしいことが行われているということを首根っこ掴まれて突きつけられた感じでした…。
衣裳
衣裳で特筆すべきはやはりあいつでしょう。そう、かわいいアヒルのジョニーです。いろいろあって栃木からやってきてくれました。舞台上で異色の輝きを放ち、見に来てくださったたくさんの方々から愛され、無事栃木に帰っていきました。あの異質さと独特なフェイス、謎の可愛らしさが劇とマッチしまくりでしたね。ありがとうジョニー、忘れないよジョニー。
宣伝美術
今回の劇では、「ブルー」「ピンク」「ブラック」をテーマカラーとしています。宣伝物の他にも、照明や舞台などの視覚的なスタッフワークにも一部導入しました。市役所のフォーマルなイメージと、カオスさや毒々しい不穏さが表せるようなデザインにしてほしいとのオーダーのもと、それぞれ素敵な宣伝物を作っていただきました。資料公開で写真を掲載するので、隅々までご覧ください♪
番外編:小道具
今回は作るものが多かったです。職員組の名札とジョニーの保険証も手作りでした。あとはマネキンですね。黒歴史は団員から募集したものやそれを改変したものを使いました。もちろん私のもあります。探さないでください。
脚本についてなど
初期の構想とかなり違うお話になった今回の劇ですが、役者が少数なのをアドバンテージとして、一人ひとりの考え方や成長、人物同士の関係をしっかり描くこと、なにより愉快でとんちんかんなお話にすることは一貫させたつもりです。楽しめる劇が作りたいというのが一番の目的でした。思いついたシーンをいくつか書いて、その点と点を繋いでいく過程で主軸となるテーマを考え出す、という方法で書いたものになります。
おわりに
なんだか真面目で面白みのない文章になってしまいました。脚本から薄々感じたかもしれないのですが私はこういうときちょけないと死んじゃう性です。トマトパスタ☆
さて結びに、一緒に劇を作り上げてくれた同期たち、そして新人のサポートをしてくださった先輩方をはじめとし、公演に協力してくださった方々、ご来場くださった皆さまに改めて感謝申し上げます。
新人公演は無事成功させることができましたが、まだまだ我々にはのびしろがあると感じられた公演でもありました。もっとステップアップしていけるよう精進してまいりますので、これからの劇団綺畸にぜひご期待ください!