劇団綺畸稽古場ブログ

劇団綺畸は、東京大学と東京女子大学のインカレ演劇サークルです。名前の由来は「綺麗な畸形」。

セクション紹介 ~舞台・音響・照明~

《舞台》

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Q.どんなセクションですか?


A.構造やデザインを考えるところから始めて、演劇が行われるステージを作ります。広くて何もない駒場小空間では、高さ数メートルに及ぶ構造物を建てたり、舞台を取り囲んだり挟んだりするように客席を配置するなど、相当自由に舞台を作ることができます。
また、机や椅子などといった、舞台上に置く中道具を作るのも舞台セクションの仕事です。電動のものを含む多彩な工具が揃っているので、頑張ればなかなか本格的なものも作れます。
舞台は劇が始まる前から終わった後まで常に観客の目に触れ続けるもの。その舞台を通じて、作品の世界観を表現し、その魅力を最大限引き出すのが私たちの仕事です。

 

Q.本番に向けてひとことお願いします!

 

A.綺麗な舞台が建つ(はず)なので、ぜひご覧ください。

 

《音響》

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Q.どんなセクションですか?

 

A.音響セクションは、劇で使う音を扱うセクションです。「音を扱う」と一口に言っても、劇中で雰囲気をつくるために音楽や効果音を流すだけでなく、音源を探したり、自分たちで作って編集したりするのもこのセクションのすることです。

 

Q.本番に向けてひとことお願いします!

 

A.目立たずとも、劇を組み立てるために活動するのが音響セクションです。ぜひご来場ください。

 

《照明》

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Q.どんなセクションですか?

 

A.照明は、舞台を光と闇によって演出するセクションです!
単に役者を照らすだけでなく、様々な役者の心理を表したり、シーンの雰囲気を表現したりします。どこに光を当てるか、何色と何色を混ぜて照明を作るか、どのタイミングやきっかけで照明を消すか、何秒で消すか、など様々な要素を考慮しながらプランを練ります。また、照明機材の設置や電源の配電などの「仕込み」も行います。光ひとつで見え方が大きく変わってくるので、とてもやり甲斐のある仕事です!

セクション企画 ~映像~

こんにちは、映像です。


映像の仕事は主に、劇の告知PV、劇中映像、感フィの作成や公演終了後のDVD作成です。


感フィとは劇団員から各劇団員に向けたコメントを匿名で集めたもので、公演後に舞台のパネルに投影して見て楽しみます。しかし、今回は新歓ということで新入生の皆さんにそれぞれのセクションの良いところを知ってもらおうと思いセクション感フィ動画を作成しました。


ぜひご覧下さい!


セクション企画 ~映像~

セクション企画 ~照明~

冬公演のパフォ照明の一部解説


Alpha and Omegaの中で1番ポップな照明です。笑

ピンクと水色と黄色を合わせるとポップで明るい感じの雰囲気になります!(ライブの照明でも爽やかな感じ(?)の曲でよく使われています。)後ろに水玉模様を入れることでよりポップな雰囲気になりました。

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色の組み合わせとしては赤と青と緑を重ねただけですが、色と色の境目が少し被って紫のグラデーションが出来てたりして思ったより綺麗な感じになりました。三色全て原色なので一色でも主調が強めになってしまうけど、思ったよりうまく調和しました。

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2人の世界が分断されるシーン。手で境界線を引くような役者のアクトだったので、それに合わせて照明を赤と青に分けました。アクトと照明がぴったり合って、凄くかっこいいシーンに仕上がりました。赤と青は一見すると合わない組み合わせに見えますが、照明だと相性がよくて、かっこよく見えます。笑(自論)

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バック(後ろから当てる照明)のみのシーン。
後ろからの光のため、役者のシルエットはしっかり見えるかわりに顔は暗く陰ってしまいますが、不気味な感じやカッコよさを出せます。(ライブの登場シーンなどでもよくバックの照明は使われていたりします。)

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フット(下(足元)から当てる照明)のシーン。
通常だと太陽や部屋の明かりは上から当たりますが、このシーンでは下からの明かりを当てているので、非日常感や暴力的な印象を与えることができます。

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好きな機材紹介


・S=F(Source Four)
S=F(source four)とは、舞台照明などでよく用いられている照明機材の一つです。S=Fは、ゴボ(ネタ)と呼ばれる金属板のようなものを内部にセットすることでゴボに刻まれた模様を投影することができます。

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・PARライト
こちらもS=F同様、舞台照明などでよく用いられる照明機材の一つです。PARライトはセットタッチと呼ばれる舞台の構造物などに当てるために用いたり、目潰しと呼ばれる客席の方に照明を当ててお客様に眩しいと思わせるために用いられるというような装飾的な意味で使われることが多いです。また、PARライトはライブ照明でも多く使われており、時々テレビでもセットを当てる用で使われていたりします。ライブハウスなどのライブ照明では以下の写真のようにPARライトを横1列にずらっと並べて、使われることが多いです。

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セクション企画 ~宣伝美術~

宣伝美術セクションは現在、前チーフの黒須真里亜(東京女子大学・3年)と現チーフの西山珠生(東京大学・2年)ふたりで回っています。そんなふたりが宣美についておしゃべりしました。すぐ下にまとめた一公演での活動の流れも参考に、宣美の雰囲気を感じていただけたら幸いです!

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~約2か月前:作・演出が決定後まもなく、作演・宣美・制作で会議を行い、各宣伝物の完成日程を決めます。この時、それぞれについて大まかな内容を話し合うことが多いです。


2~1.5か月前:仮チラシの制作。仮チラは、公演を知らせる最初の宣伝物です。簡単な情報と、作品のイメージをモノクロで伝えます。


~約1か月前:東大看の制作を開始します。駒場キャンパスに立つ東大看は、公演当日まで多くの人の目に触れる大切な宣伝物です。東大看は、叩き場と呼ばれるキャンパスの共同の作業場(槌音広場)で舞台セクションはじめ、他の劇団員の手も借りながら塗り進められます。本チラシをデザインします。仮チラは大学の印刷機で刷りますが、本チラは印刷会社にお願いします。東大看と並んで、宣美のメインの仕事といえるでしょう。届いたチラシは、制作セクションが他団体の公演などに折り込みます。


~2,3週間前:東女看を制作します。東女生の空きコマを利用して塗ってもらいます。また、東大看が完成し立てられます。
公演2週間前頃、当日パンフレット・チケットをデザインし印刷会社に注文します。


~公演の初日:小立て(正門から駒場小空間までの道案内板)・ひさし(ホールの入り口に吊るす小さな看板)を完成させます。


・「宣美の仕事」のはなし

西 宣伝美術っていっても、「え、いったい何?」って正直私ははじめ思いましたけど、結構いろいろな仕事やってますよね
黒 そうだね。結構他のセクションと関わるかな。立て看を舞台さんに叩いてもらったり、役者の写真を使うときなんか、衣裳着てもらって、照明さんにライトを当ててもらったこともあるし。当制(公演当日の、受付をはじめとしたお客様のご案内を当日制作と呼んでいます)をやったり。音響だけないけど(笑)
西 宣美って、劇の上演の当日に関われない、って感じがあります
黒 今まで準備してきて、当日さあやるぞっていうときにこっちはもうやることないわけだからね。他セクション(制作のお手伝いとしての当日制作)やってるしね。……でも初ステを迎えるまで一番大事なセクションだよね。初ステ明けたら音響凄かったー、照明良かったーなんて評判も流れるけど、それまでは宣美しか情報がないから
西 そうなんです、思ってるより大事なのかな、って最近気づいたんですよ(笑) 立て看を見て来てくれる人がいるんですものね。


・なんで宣美になった?

黒 ……同期で宣美志望がいなかったから(笑)
西 私ももともと役者やりたくて入ってきて、でも役者はスケジュールがきつすぎてダメかも…ってそれなら宣美!って。絵を描くし
黒 特に理由がない(笑)
西 なりゆき。最初はまあ(自分の作品としてでなく劇の宣伝のために)デザインするだけだよな、と思って見向きもしてなかったんです。でも——すごく派手ではないけど、思っていたより濃い仕事ができるのは、私は嫌いではないですね

西 宣美やってて楽しい瞬間ってなんでしょう
黒 うーん……つらいことも多いんだけど……立て看の塗り終わり
西 たしかにあの達成感はなかなか!でも宣美も衣裳もやってて……すごいですよね(笑)
黒 ありがとうございます(笑)

(私は自分の作ったものが人の目に触れて、その人の感情の動きにつながったと感じる瞬間(公演に来てくれるとか、よかったよと言ってくれるとか)がたまらなく好きです。描くのが本当に好きなのでイラストを描いたり立て看を塗ったりする作業もかなり楽しいです。ぜひセクション紹介もお読みください! 以上西山でした)


・今までのベストプランは?

西 なんだろう……中止になった新公(2019年度新人公演『それでも朝日は僕らを照らす』)のものはけっこう気に入っているんですよ。インスタのセクション紹介にも写真載せたんですけど、本チラと立て看は好きだなあ。『Alpha and Omega』(2019年度冬公演)のひさしとかも

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黒 私はなんだろう?
西 私、スポットライトガールの東女看好きですよ。綺麗ですよね
黒 あ、私も好き。それかなあ…
西 結構塗りなおしたんですよね?
黒 塗りなおしたし、ベニヤから買いに行った。ずっと使ってるやつ(パネル)をどんどん塗り潰していってたんだけど、さすがにダメになってきたから。ベニヤを持ったまま店から東女まで歩いて——子供に指をさされながら——門のところで東女生に不審な目で見られながら——作ったのは思い出かな(笑)
西 お疲れさまでした
黒 ……新公の立て看かな!スポットライト(ガール)の東女看と新公の立て看にしよ

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西 宣美の特徴というと、お仕事がちょこちょこ入ってくるってところかな、と。役者や舞台とは比べ物にならないけど、宣美も公演期間1か月を強く感じている気がします。例えば私たちがチラシだ立て看だ言ってる頃はまだ音響や照明はそこまでは仕事ないみたいだし
黒 動き出しが早いよね。音照は実際に小屋入らないとわからないものね
西 小屋入りしてからは我々は他に比べたら仕事が少ないわけじゃないですか(笑)
黒 ずっとやってきて、何が他と違うとかわからなくなってきた
西 じゃあ衣裳と比べてなにか宣美ってこうだなあとか?
黒 脚本と関係がない——というか脚本がどんなに進んでなくてもこっちは仕事進めなきゃいけない
西 けっこうつらい面もありますよね。脚本ができてくるとイメージが変わってきたりすることもあるわけですし
黒 宣美も難しいよね~
西 でも私たち自由度は高いと思いますよ。いろいろできるし、拘束時間的な面も(笑)

黒 そういえばインフォメ塗り上手い人ってどんな人かって話知ってる?
西 ええ……?
黒 昔言われてたのがね、習字二度書きしてた人。
西 してました(笑)(時々我慢できなくなることが…)けっこうばれなかったんですよ。あまりにも目立つのでなければ先生も見逃してくれたりしてるんだろうけど。でも面白い話ですね。
西 インフォメ塗りって、というか立て看塗る作業ってなかなか面白いですよね。
黒 印刷してトレースして塗って…。そんなことやらないもんね
西 びっくりしましたもの。こんなことやってるんだ、って(笑) でも確かにあれくらいしかやりようがない

(私たちは立て看板などはすべて自力で塗りますが、特に文字の公演情報部分をインフォメと呼んでいます。これがきれいだと立て看板は一気に洗練されて見えるのでインフォメ塗りはとても大事です)

西 宣美、PC使えるといろいろといいですよね。私はあまり強くないから
黒 私も使えない
西 でも否が応でもPhotoshopとかにちょっと慣れますね
黒 使えると結構便利だよね。それ、宣美のメリットってことで(笑) デザイン系のツールが使えるようになる
西 デザインというと、バランスをみる力はつくと思う。偉そうなことは言えないけど、空間とか、文字をどう入れるとか、色味…… 自分のことなので実際はわからないんですけど、空白の使い方とかうまくなった気がするんです
黒 これやってなかったら絶対授業でのレジュメとかパワポとか、ひどいものを作っていたんだろうなと思う
西 お、パワポに活きるかも。デザイン系のツールってちょっと使えるだけでも役立ちますよね、写真加工の技術なんかもつくし
黒 みんなが好きな(笑) 写真が好きな人おすすめだね
西 最近カメラにはまってますけど、宣美も無関係じゃないと
黒 わかる、私もカメラ持ってるけど宣美をやってなかったら興味沸いてすらいなかったんじゃないかと思う

黒 制作過程とか紹介する?
西 いいですね、なにかありますか?

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黒 あと宣美のおすすめポイントで、上下関係なく仲良い、って言いたい!
西 少人数の強みですかね。でも綺畸でそんなに仲悪いってあります?
黒 いやでも私、自分で言うのもなんだけど、自セクの先輩と一番仲良い自信しかないし、後輩とも仲良いよ(笑) 宣美って上の人たちも一緒に旅行行ったりしてるし、仲良いこと多いよ
西 楽しそう。(立て看塗りなど)一緒に作業はするけど、近すぎて逆に…ってこともなく、なのかな

 

というわけでなかなか楽しいセクションです!
ここまで読んでいただきありがとうございました。これがサークル・セクション選びの参考に、あるいは軽い暇つぶしになったならうれしいです。
大変な時期ですが、東大生も、東女生も、他大生も、劇団綺畸の宣伝美術でお待ちしています。一日も早い収束を願って、そして皆さんの健康をお祈りします。

供養

みなさんこんにちは。役者2年の橋本です。


有志ブログ…ということで、なにか書きたいなーと思ったんですが、その題材を探して過去の文章を色々漁っているうちに、こんなものを発見しました。
たしかこっちにきて、いくつか演劇を見始めて、一丁前に演劇について「語り始めたくなった」ころの文章だとおもいます。今読むと、違うだろっ!とか、ムチャクチャだな!ってツッコミを入れたくなる部分が多くありますが、一つの思考の軌跡としてここに供養しときたいと思います。まじで恥ずかしいんですが、「劇団綺畸ではこれだけ必死になって、目の前のものに食らいついていけるんだよ!」みたいなことを、わかってもらえたら嬉しいなって思います。実際今もなお奮闘の最中ですし、これからも演劇との奮闘は更新されていくことでしょう。そうした奮闘も、また機会があれば文章にします。


とりあえず下の文章は、そのスタートラインにようやく立てたある地点での、ある種記念碑的な文章です。


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「表現について」
演劇には2つの形態があると考える。観客に①「経験をさせる形態(experience)」と②「魅せる形態(performance)」の2つである。①前者experienceについて。どちらかというと自然な身体と日常性に肉薄した言語感覚を駆使して、観客を作品世界の中に丸ごと巻き込む。アングラ、小劇場演劇に象徴されるかたち。観客は作品に「共感」し、観劇中は思考を許されず、ただただ劇場の時間の漂いの中を流れていく。観客はこの時役者と同じ世界の中に身を置き物語を構築する一員になる、という「経験」をする。自分がいなければその回の舞台は完成しなかった、という自覚を得る。②後者performanceについて。日常とはかけ離れた身体性と発話の中で、感動店員・喜怒哀楽の発露を観客に促す形態。オペラやダンス、高校演劇等、大ホールで多く行われる。(観客と舞台の間には透明で大きなスクリーンがあるようなイメージで、観客は作品世界から隔絶され客席に座ったまま「見つめる」。
座組が自分たちが演じている形態がおおむね①と②のどちらの形態に属しているかを自覚しなければ、非常に中途半端でいわゆる面白くない演劇が完成する。もちろんドラマの精度が良ければその曖昧さが覆い隠され面白くなることもあるのだが、その時役者は戯曲の「操り人形」と映るのだろう。また思うのは、どちらの形態においても、あらゆる演劇で必要なのは「共感」であり、「もし自分がそうだったらきっとそうするよね!そう考えるよね!」という必然性である。最近観劇をしていて、「こうはならねえだろ」「こうは考えねえだろ」と思った瞬間、体がふっと舞台から離れていく感覚をよく覚える。
以上は、僕が考える演劇についての一般論である。これらを踏まえて自分が演劇人として目指すべき立場に言及するならば、それは圧倒的に①experienceの形態だし、その達成のために役者としてまず「共感」を呼べる演技をできるようにならなくては、という感じである。目立ちたいだとかかっこよく見られたいだとか、そういう理由で演劇を始めた人間なので、どうしても自然体で演技することに抵抗があり、強力な自我を持ったキャラクターを手癖ムンムンのまま立ち上げてしまう、というのが私の悪い癖だと自覚している。
しかし、問題なのは、experienceにもperformanceにも属さないような、詩的な舞台を目の前で展開されたときである。「意味のわからなさ」の中で、テクスト読解のような苦労を強いられ、そしてそれが正しいのかわかんないような不安に包まれ非常に気疲れする。アレはなんなのだろうか??おそらく私に読解力がないだけだが、考えることを求めて劇場に出向かないような人間は、何をどう受け止めて劇場を去れば良いのか。
たくさんの問題や論題を残しつつも、これからも私は演劇に大学生活を捧げていくつもりである。「絶対に演劇をやりたい」という気概を極めていく。誰に迎合する必要もない、自分は自分の「絶対に演劇がやりたい」っていう熱意をぶつけて劇に向かうし、「絶対に演劇がやりたい」って思ってる人と演劇がしたい。誰がやめていこうと止めない。自分はのこる。やりたい人間と残って、やりたいことをやる。1人になっても、やりたいから、やる。そういうスタンスを以て明日からも私は、明日の稽古に臨む。
ーーーーー

セクション企画 ~音響~

こんにちは、音響です。
今回は音響の魅力をもっと知って頂けるように、音響機材の解説「たのしい音響機材」と、Mへの熱い思いをメンバーが語る「このMがすごい!2020」の二本立てでお送りします。


「たのしい音響機材」
<101>
腕にすっぽり収まる小ぶりのスピーカーです。機動力の高さを活かして舞台下に潜らせて効果音を出したりするのによく用います。


<サブウーファー>
サブウーファーは、主に低音を出すためのスピーカーです。これだけで音を出しても、ほとんど曲として聞こえません。歌はどこに行っちゃったの?という気持ちになること間違いなし。
ですが、他のスピーカーと一緒に鳴らせば、自宅のスピーカーやイヤホンでの視聴では得られないような臨場感をつくり出すことができます。過去公演では、爆発音をこのスピーカーから流すことで客席が揺れる効果を利用したこともあるそうです。


<ミキサー>
音響セクションと聞いてイメージする機械の一つがミキサーではないでしょうか。Instagramで紹介した写真にもあります。見たことがある・知っている方も多いと思います。ツマミやスライドさせるやつ(フェーダーといいます)がたくさんついていて、かっこいいけどなんだか操作が難しそう、と思うかもしれません。が、上演中はあまり操作しません。ご安心ください。


<アンプ>
ミキサーとスピーカーの間につなぐ機械です。これがないとスピーカーから聞こえる音量の音が出ないので、結構大事です。写真はInstagramにあったかと思います。一台で鳴らすことのできるスピーカーは一組(LとR)だけですが、駒場小空間では複数のスピーカーを一度に鳴らせるように、いくつかのアンプを同時に使います。
駒場小空間で他の団体の公演の準備を手伝うときにはアンプとスピーカーをつなぐ作業が中心になるので、音響セクションにとっては馴染みのある機械だと思います。


<オーディオインターフェース>
劇団綺畸では、パソコンとミキサーに繋げて使っています。音を再生する時に音質をよくし、また音量調節もできます。


「このMがすごい!2020」
1. ヘレディタリー/継承
定番の低音に、ティンパニの皮が伸びきったときに叩いたポワッポワッみたいな音が合わさって最高に気持ち悪いです。昨年数々の恐怖を煽るMを聴いてきましたが、ここまで皮膚の裏側がむずむずして剥がしたくなるようなものは初めてでした。是非。
2.渇き (原作 深町秋生果てしなき渇き」)
原作で不良少年少女のパーティーがあるんですけど、普通は洋楽とかを流してるんだろうなと想像すると思います。
ところが劇場版ではでんぱ組.incの「でんでんぱっしょん」が使われています。
不良×地下ドル、このミスマッチが毒々しくて生命感やトんでる感じが巧く表現されています。合わなそうで意外と合う、けれどその発想には辿り着かない。天才ですね。いつかこういう絶妙なミスマッチを生みたいです。

(古橋)


3.LIAR GAME
ちょっと古いですが、テレビドラマ「LIAR GAME」のメインテーマです。めちゃくちゃかっこいいです。聞くと自分の頭が良くなったような錯覚を起こすほどです。ドラマ本編の方も面白いです。
4.陰の伝承歌 三部作
アニメ「新世界より」の挿入歌です。もともとのストーリーがかなり異質なんですが、その雰囲気と怪しい曲調が合っていて、さらに凄みが増している気がします。音響(というか音楽)の効果の大きさを感じた曲です。
5.御神体へ再び
映画「君の名は。」のワンシーンのBGMです。雨の日に聞くといいと思います。最後に日が差したような感じがするのも好きなところです。

(今野)


6.ポケモン
キキョウシティ、アサギシティのbgmが好きです。ハートゴールドをやってた時に、このbgmに出会いました。
ジムリーダーの中で好きなのは、ヒワダタウンのツクシです。
bgmもジムリーダーもいいので、是非ハートゴールドソウルシルバーやってみて下さい。

(小宅)


音響は多くの作業をパソコンやスマートフォンがあれば何処でも行える、学生生活にコミットしたセクションです。プライベートを充実させたい人、音楽が好きな人、機材を扱ってみたい人、そうでない人も、音響に興味をもって頂けたら幸いです。音響一同心よりお待ちしております!

セクション企画 ~web~

【ワールドワイド】
こんにちは。特設サイト制作などをしているweb担当です。webセクションの紹介と宣伝ができればと思います。いつもは劇の宣伝を考えていますが、今回は自セクションの宣伝をします。難しい。とりあえずタイトルをwebっぽいものにしました。内容とは全然関係ないです。


まず、特設サイトのことを書いてみます。劇団綺畸では公演の度に特設サイトのページはHTMLとかCSSとかを使って作っています。よくわからん、難しい、やめとこ、と思うかもしれませんが、めちゃくちゃいい加減に言うと(怒らないでください)、パソコンにわかるような言葉で自分のやりたいことを書く、というだけです。最低限のことだけならすごくわかりやすくて簡単な第三外国語です。単位はありませんが。
しかも相手はパソコンなので、気を遣う必要もありません。正しくない言葉遣いで話すと言ってることを聞いてくれないですが、怒られたり関係が悪くなったりすることはありません。自分の思い通りのデザインができるまでどんなに時間がかかってもそれに付き合ってくれます。ついでに言うと、思いついたアイデアは大体実現させられます。気になった方は過去公演の特設サイトを見てみてください。ホームページ(http://kiki.sub.jp/index.html)から見られると思います。


もう一つ、webセクションが公演の前に行う企画に、劇団員にブログを書いてもらうというのがあります。このブログの昔の記事は大体その企画で書いてもらったものです。僕も去年入団してから結構読んだのですが、先輩の書いた面白い記事がたくさんあって、劇団綺畸はすごいなあ、と思ったものでした。暇なら遡って読んでみると発見があるかもしれません。


他にも、Twitterでの情報発信もwebセクションの仕事です。どの仕事も、宣伝の上では結構重要です。webはサブセクション扱いなので、本セクション(舞台、音響、照明、宣伝美術、衣裳、制作)と兼ねて参加できます。
webセクションはこんな感じのセクションです。興味を持ってもらえたらうれしいです。


【✨webセクション✨の紹介】
どうも😁webセクション、Twitter担当のHです!!今日は新歓企画💓💞ということで、Twitter担当ってどんなことをしてるの??🧐という皆様の疑問に答えるべく、✨お仕事の全貌✨まとめてみました!!!!それではお読みください!😄
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童話「青い鳥」の中でチルチルとミチルは、彼らの追い求めていた青い鳥が最も彼らの近くに在ったことを気付く。そう、幸福なんて、割と近くにあるものなのだ。半径1m以内に散らばっている幸福、幸福、幸福……。今だって、煌々と光を放つディスプレイのその先で、四角い小さな籠に囚われている青い鳥は、僕達を「幸福」へと簡単に運んでくれる。凡そ秒速7センチメートル程の親指の上下運動が溢れるような情報の波に僕を晒すのだ。ああ、幸福だ、と思う。情報の表面に称えられた美醜に関わらず、「親指が動いている」ことだけで世界を渡り歩いている感覚に、本当の快感が潜んでいるのかもしれない。兎にも角にも、僕はスクロールと名付けられた親指の作為的な運動の連続によって、ここよりも遥かに茫洋とした世界からランダムに「今・ここ」に投げ出された言葉たちに出会い、そのことに「幸福」を感じている。
しかし「幸福」とはある側面において悪徳である。それが依存的に脳内細胞を蝕んで行った時、それは生活の上での足枷にしかならなくなる。薬物と同じだ。僕は、この青い鳥が恐ろしい劇薬となって体内細胞を巡りそれ無しでは生きていけない体に見事に変えてしまうその様を、よく体感する。依存無しに生きていけなくなった人間は、ちょうど、そうだ、権威を維持することだけに心奪われるようになってしまったあのマクベスのように、美徳の本来性と「幸福」とを見失ってしまう。親指の上下運動にだけ汲々とし、情報の内側を見ようとしなくなってしまった僕は、もう既に、青い鳥のその実在だけに心と体を奪われてしまった、「不幸」な存在なのだ。青い鳥がアイコンというその小さな籠に捕らえられているように、「幸福」はその裏に潜む、「不幸」にいつだって囚われている。そう思う。
〜〜〜〜〜
午前4時を過ぎて漸く眠気が襲ってきた。そう、この夜も僕は「幸福」と名の付けられた不幸に体を蝕まれていた。眠る前にもう一度、と、私は青い鳥が運んでくれる情報の波に体を晒そうとする。我に返る。午前4時だ。だれも起きているはずがない。
最新の更新。36分前。
おもしろくない。今の私の近くに、わかりやすい「幸福」などない。
アプリを閉じる。ボーッと画面を見つめる。見つめている。見慣れたアイコンに目がゆく。ふと気づく。

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青い鳥ははじめから青くなどない。鳥はただ白く、青い空を飛びまわる自由な鳥なのだ。
そうか、鳥はいつだって自由だった。囚われていたのは僕だけなのだ。「幸福」「不幸」という籠に真に囚われていたのは、僕の方なのだった。どこかにいるはずの青い鳥に、憧れていただけなのだった。眠気まなこでも尚網膜に焼き付いてくる眼前の世界と向き合い、ぼんやりと悟りを得た僕は、気づきの中で爽やかだった。
携帯の電源を切った。明日もその明日も僕はそのアプリに触れ続けることだろう。朝日がカーテンの隙間から差し込んでこの部屋を照らす頃には、新しい言葉がまた無際限に、タイムラインを飛び交っているはずだ。そこに潜む「幸福」に僕はまた憧れを抱き続けるのだろう。親指だけでその世界を旅するのだろう。
……
それでも。
すべてが錯覚だとしても、それでも、まあ、構わないか。そう思ったところで、眠気が、ぼくの意識の帳を静かに閉じた。