劇団綺畸稽古場ブログ

劇団綺畸は、東京大学と東京女子大学のインカレ演劇サークルです。名前の由来は「綺麗な畸形」。

光の力(とコマーシャル)

演劇の構成要素のうち、もっとも重要なのは何か?

必要度という意味では、間違いなく役者です。役者がいなければ演劇は成立せず、逆に役者さえいればその言葉と動作によって人の心を動かしうる表現は可能になるのですから。しかし、役者のみという最小限の状態から一歩踏み込んで、より多彩で印象的な表現を求めるとき、もっとも目立った働きをするのは照明ではないかと思います。

演劇には、作中に登場するあらゆる場所を一つの舞台の上で表現しなければならないという大きな制約があります。この制約を突破し、豊かな表現を可能にするのが照明です。光の色や強さを調整することで、幸せな家族の暮らすアパートの一室を、無機質な蛍光灯の灯りが照らすオフィスを、雪の積もった夜の公園を、夢や妄想のような精神世界を、一つの空間のうちに実体化させることができます。劇団綺畸では通常、四週間の稽古を経たのち実際の舞台上で本番に向けた稽古を行います。そこで初めて役者の演技と照明の演出を合わせられるようになるのですが、照明がつくだけで未完成品であるはずの通し稽古も鑑賞に値する「作品」としての性格を帯びてきます。照明の効果とはそれほどに絶大なものなのです。






そ れ は そ れ と し て、

舞台はとても楽しくやりがいのあるセクションです。ものづくりや工具が好きな人、肉体労働が好きな人、肉体労働は好きではないがデザインに関心のある人、背の高い人、小柄な人、あるいはどれにも該当しなくても、興味さえあれば入って損はないと言えます。新入生の皆さん。共にナグリ(※1)を振るいましょう。垂木(※2)を貫(※3)を切りましょう。東急ハンズ渋谷店B1階(※4)の常連になりましょう。舞台セクションはあなたを歓迎します。


舞台・映像 北村章吾


(※1)一般的に言うハンマー。特に釘抜きのついたものをいう。

(※2)たるき。木材の種類の一つ。断面は40mm×30mm。

(※3)ぬき。木材の種類の一つ。細長い板状。

(※4)品揃えの良さに定評のあるホームセンター。春公演でもお世話になった。