もうないものがたまらなく愛しく感じるなんて経験ありませんか?
私はそんなことばかりです。
本や絵が好きな私ですが、好きな作品と言われて浮かんだものはそのどちらにも当てはまりません。
ケーキです。
年の離れた幼馴染のお姉さんが作ってくれたケーキが今でも忘れられないのです。
彼女はお菓子作りが好きで、パティシエを夢見て日々オリジナルのケーキを作っては、試作品を私に食べさせてくれました。
専門学校を出て、本当に夢を叶えてホテルのパティシエになったんですから、腕前は説明するまでもないと思います。
形も綺麗で味も美味しくて、どれも素敵なケーキだったんです。
冒頭で「もうないものが~」と言いましたが、結論から言えば彼女はもうケーキが作れません。
事情は省きますが、彼女の短いパティシエ人生の中で作られたウェディングケーキの数々はそれはそれは素晴らしかったので、もうあのケーキで祝福される新郎新婦はいないのかと思うと勿体ないです。
過去は美化されると言いますが、私の場合は特にその傾向が強いのでしょうか、記憶の中の彼女のケーキに勝るほど美味しいと感じるケーキになかなか出会えません。
もっともっと味わっておけばよかったと、後悔にも似たような恋しさがそう感じさせるのでしょう。
演劇も公演が終われば再び同じものは観ることができないという点で似ています。
過去公演を思い返しては恋しくなる時もあります。
もう二度と味わえないとわかってるんです、今公演も後悔なきよう目一杯味わっていきたいです。
宣伝美術 濵崎久美
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劇団綺畸2017年度冬公演
『ダイアローグは眠れない』
作・演出 中石海
12/15(金) 19:00
16(土) 14:00/19:00
17(日) 13:00/18:00
於 駒場小空間
全席自由席
入場無料・カンパ制
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