劇団綺畸稽古場ブログ

劇団綺畸は、東京大学と東京女子大学のインカレ演劇サークルです。名前の由来は「綺麗な畸形」。

ひなぎく

最近見た映画がとても強烈でした。
主人公は2人の女の子。どちらもマリエと名乗りますがそれも偽名です。マリエ1とマリエ2はたくさんの男性に美味しい食べ物をご馳走させ、かといって好意を寄せてくる男性は気まぐれで相手にしません。
大きな水玉柄のワンピースにキツいアイライン、部屋の飾りを全部燃やしてみたり、ベッドの上で食べ物を鷲掴みして食べたり、シャンデリアにぶら下がってみたり...自由気ままに過ごします。
あまりに滅茶苦茶な2人の行動ですが、その屈託のない笑顔は本当に魅力的でなんだか自分までニコニコしてしまいます。
物語の筋はなく、コマ切れや色ズレを起こすカラフルな映像や変わった音楽、唐突な場面転換、彼女たちの話す独特なチェコ語、お洒落で少し毒のあるインテリアとお洋服であふれていて、背徳感と可愛さの暴力という感じで楽しく見れる映画なのですが、わたしは何よりこの作品のほろ苦さが好きです。
この映画は1960年代の社会主義真っ只中のチェコスロバキアの作品で検閲に引っかかり発禁処分を受けています。
彼女たちの会話は一見ただ支離滅裂で可愛らしいものなのですが台詞や演出の所々に当時の社会への皮肉や反抗が感じられます。
町の工場の人々にに彼女たちの姿は見えません。働きもせず自由にくらす2人はそこでは必要のない存在です。
彼女たちは無力で本人たちもそれがわかってるからこそ、たくさん滅茶苦茶なことをしてたくさん笑うのかな、と思います。
「いい子になって幸せになろう」と言いながら2人で必死こいて掃除をして、無理に幸せと呟いてみたけれど残るのは虚無感、というこの映画の終わり方がとても好きです。

かなり最近見た映画なのですがそれから何度も素敵だったなあ、見たいなあと思っています。
冬公演にご来場していただいた方に少しでもそう思っていただけたらとても嬉しいです。ぜひご来場ください!

 

 

 

 

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劇団綺畸2017年度冬公演

『ダイアローグは眠れない』

作・演出 中石海

12/15(金) 19:00
16(土) 14:00/19:00
17(日) 13:00/18:00

駒場小空間

全席自由席

入場無料・カンパ制

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