好きな作品について。
作品。
小説でも絵でも漫画でも映画でも、演劇でもよいという幅広いテーマで何を選ぶか迷います。
簡潔に色々紹介させてください。
まず小説。クロニクル千古の闇シリーズ第1巻『オオカミ族の少年』。狩猟採集精霊呪術の時代の世界で、悪霊の宿る熊に父を殺された主人公の少年が、森の中で狩猟採集寝床作りをしながら生き延び、様々な部族と出会い捕まり戦いまた仲良くなり、最終的には禍を起こす悪霊の宿る熊を討伐するお話です。
私の口癖に「イヌイットになりたい」というものがありますが、私はなぜか小学生の頃から狩猟採集生活に圧倒的な憧れがありこの原始の暮らしとアミニズムが生き生きと描かれた世界観に魅了されていました。
好きな絵画はクリムトの「ダナエ」、ウィリアム・アドルフ・ブグローの「ヴィーナスの誕生」。どちらも有名で見ればお分かりになると思うのですが、美しい女体を描いた絵画に惹かれます。肌に鮮やかなピンク色を差すのがとても好き。
漫画はありすぎて困りますが特に、『皇国の守護者』(原作・佐藤大輔 漫画・伊藤悠)、『あれよ星屑』(山田参助)、『ヴィンランド・サガ』(幸村誠)、に『動物のお医者さん』(佐々木輪子)などなど。
前から3つはいずれもゴリゴリの戦争漫画でどんどん人が死にます。戦争歴史漫画ならだいたいなんでも好きです。簡単に書かれた歴史(例えば「モンゴルが西夏を滅ぼす」とか)の中に、どれだけの人の思惑と動きと命のやりとりが含まれているのか考えるととんでもないことですね。動物のお医者さんはタイトル通りほのぼの、北大獣医学部の漫画。
映画は実はあまり見ません。ジブリをたくさん見ます。「おもひでぽろぽろ」。名作。主人公と恋に落ちる田舎の男性、親しいひとはいかにも私が好きそうだと納得するはず。これは、なぜ好きかと言いますと、子どもという時代のままならなさを実によく描いていると感じるから。「小学生にもどりたーい。」なんていうひとはよくいますが、私は齢幼きころというのは人生で一番ままならず悲しく寂しい時期だと思っています。周りの大人から見下され、足りない頭と身体をバタバタ振り回して狭い世界の壁に全身をぶつけながら物足りず満たされず変化し続けなければならない少年の頃。あのままならなさが描かれていると思うのです。
さて、よくここまで読んでくださいました。最後に私の人生を変えた演劇について少しだけ書きます。
「もっと泣いてよフラッパー」「空中キャバレー」作・演出 串田和美。
「もっと泣いてよフラッパー」を見たのは私が高校1年生の頃でした。もう記憶の断片でしかありませんがあれはフラッパーたちの悲恋の物語でした。きらびやかな舞台、ジャズバンド(だったのかな?)の生演奏とキャストたちの切なく艶やかな歌声、光り輝く女性たちのドレス。最高のエンターテイメントでした。
「空中キャバレー」は、サーカスと演劇がごちゃ混ぜになったような演劇。開場後すぐ劇場に入るとたくさんの出店や見世物小屋、パフォーマンスするサーカス団員、まるでお祭り。しかも、非日常な劇世界におけるお祭りに迷い込んでその一員になったかのような。劇が始まると客はあるときは客席で静かな劇を鑑賞し、ある時は地べたに演者を囲んで座るよう促され、手をつないで踊り、歌い、と思っていると神輿が担がれてきてどかされ、舞台が出てきて座り直しコントのようなものを見て、途中にはサーカスショーが挟まれました。
最初から最後までのわかりやすいストーリーなんてものはありませんでした。ただ全力のエンターテイメントとほろ苦い何かが織り交ぜられて目の前をめまぐるしく駆けていきました。
それから私はずっとエンターテイメントとしての演劇に魅了され続けています。
その劇は、観客と演者とが限りなく近く、まるで観客も参加者のようでいて、それでいて、観客は観客にすぎず、決して観客の手にその劇のなまが触れることはないのでした。
あの高揚感の中心にあるなまの何かに直接触れてみたくて今でもずっと演劇をしています。恋い焦がれています。
舞台監督 小林可奈子
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劇団綺畸2017年度冬公演
『ダイアローグは眠れない』
作・演出 中石海
12/15(金) 19:00
16(土) 14:00/19:00
17(日) 13:00/18:00
於 駒場小空間
全席自由席
入場無料・カンパ制
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