好きだった作品ならいっぱいある。
好きな、ではなく、好きだった。
私にとっての「好き」は憧れと強く繋がっているから、
そして何より私は単純だから、
好きな作品は私の歩く道を簡単に変えてしまう。
7年前のこと。
とあるマンガを好きになった。
高校生の女の子達がバンドを組み、放課後部室に集まっては楽器の練習もそこそこにお茶しながらゆるゆると過ごす、といったもの。
当時の私にとっては憧れだらけの風景で、できることは片っ端から真似をした。
似合わないとわかっている髪型、持ち方もわからないギター、少し背伸びした口調。
憧れはすごい。無敵だ。私に踏み出す強さをくれる。
だけど、好きであり続けることってやっぱり難しい。
夢中になって、憧れて、追いかけている間はあんなに愛おしく思えたのに、大好きだったのに。
ふと好きの気持ちを見失ってしまう。
しかもその好きは完全に消える訳ではなくてぽっかりと穴があいたように、
好きだった形跡だけ残して去っていく。
うん、寂しい。
だからせめて、好きだったことだけは必死に忘れないように、一生懸命かき集める。
いつか好きな作品だけを詰め合わせて手元に置いておきたい。
私の事だから何をしまったかなんて忘れてしまうだろうから、時々取り出しては眺めるくらいが丁度いいのかもしれない。
眺めている一瞬だけでも好きの気持ちをほんの少し思い出せたなら。
懐かしさと好きが混ざって耳のあたりがキュッとなる。
好きな作品とまた一から出会えたら良いのに。
安孫子 朋佳
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劇団綺畸2017年度冬公演
『ダイアローグは眠れない』
作・演出 中石海
12/15(金) 19:00
16(土) 14:00/19:00
17(日) 13:00/18:00
於 駒場小空間
全席自由席
入場無料・カンパ制
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