小さい子の想像することって、とっても不思議なことですよね。
知っていましたか?人間の脳みそって、実は宇宙より広い宝箱になっているんです。宇宙より広い脳みそを持っているから、人間は本当に存在するかもわからないだだっ広い宇宙を想像することができるのです。
だだっ広い宇宙には、いろんなものがぷかぷか浮かんでいます。わたしたちは、好きな絵は目を介して、好きな匂いは鼻を介して、好きな音楽は耳を介して、物質のようなものになった宝物たちを、脳みそにいっぱい浮かばせることができます。わたしの頭の中には、ルノワールの絵画、大好きなデザインのお洋服、焼き立てのパンの香りなど、かわいくて綺麗なたいせつなものがたくさん浮いています。
でもわたしは、音楽を宝箱いっぱいに詰め込むことが一番だいすきです。
だけど、何度も聴いたりする音楽は脳みその袋の中で質量的にすごく大きい存在になってずっと忘れないものになるかもしれないけど、全然聴いていないものだと小さい粒みたいになって宝箱の隙間から抜け出しちゃうんです。だから死ぬまでに音を耳のなかに詰め込んで、脳みその宇宙空間をだいすきな音楽で満たしておかないと、自分の脳みその中の音楽をどんどん大きくしていかないと、自分が亡くなった時に天国で音楽が再生できなくなってしまうんです。それがこわいので、わたしは何度も、同じ曲を聴き続け、聴けない時には何度も脳内で再生するのです。
…と、小さい頃の私は本気で思っていて、ずっと音楽を聴いていました。
ほんとうにおかしな妄想です。