私がなぜ東大に通っているのか、そもそもなぜ東大を受けようと思ったのか、考えてみると祖父の影響が大きかった、というか祖父の影響でしかなかったかもしれない。
一族から東大生を排出したい一心の祖父は、私に会うたびに東大に行ってほしいと言い続け、正直それは別に東大なんか目指していなかった私にとってはストレスであった。
それでも祖父の東大愛以上の何かに対する情熱を私は持ち合わせておらず、なんだかんだそのまま東大を受験し、東大に通うこととなった。
もちろん祖父は私の東大合格に大喜びだった。
私は喜びはしたが、祖父からのプレッシャーに解放されたことへの安心感が大きかった。
そしてもらった入学祝。
その後も祖父は私に対する夢を語るのをやめなかった。
入学祝い金を使ってしまうとその夢に縛られる気がしてしまいどうしても使えなかった。
そして祖父に会えなくなって半年近くなった今、私はようやく机の奥にしまっていたそのお金から一枚抜き取り財布にいれた。
祖父の夢から解放されたから、単純にお金に困窮していたから、入学祝い金を入学祝の気持ちとして素直に受け入れることができるようになったから、自分の意志で将来やりたいことが思い浮かべられるようになったから、、、
どれが理由か、はたまたすべてが理由かはわからないが、ずっとしまい込んでいた祖父からもらった大事なお金を一年以上たってようやく使えるようになったのだ。
今の私は祖父からのお金は大事に使おうと思っている。
重荷だったお金は今や大切な祖父からの気持ちと思える。
結論、時間の経過が物の価値をあげることって、美術品とかワインとかじゃなく自分の周りでもあるんだくらいしか言えないが、自分にとっては貴重な経験、心境の変化だった。
あ、祖父に会えなくなった的なこと書きましたが、コロナ的に会えないだけで、祖父は今でもぴんぴんしてます。
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劇団綺畸2021年度夏公演
『勿忘草』
作・演出 西山珠生
7月上旬配信予定
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