劇団綺畸稽古場ブログ

劇団綺畸は、東京大学と東京女子大学のインカレ演劇サークルです。名前の由来は「綺麗な畸形」。

嫌いなものについて

パラリンピックの開会式を見た。すごく面白かった。でも、アナウンサーの解説がキモかった。

「〇〇さんは事故で半身麻痺になりました!」

「〇〇さんは先天的に右腕がありません!」

黙ってろよって、わかってんだよって、嫌だった。何アピールしてんだよって。

 

「可哀想だね、でも頑張ってるね、凄いね、泣けちゃうね」って。黄色いシャツの人間がテレビに出る時期になると日本中にキモい空気が蔓延していくのが、僕には耐えられない。

 

多様性って言葉が嫌いだ。健常者とか、ストレートの人とか、そういう普通から外れた人ってずっと前からいたのに、最近現れた概念みたいに騒ぎ立ててる。障害じゃなくて障がい、障がいでもなくて個性。俺たちは多様性認めてますよー、新しい時代についていけてますよーって鬱陶しい。

 

異なる何かを受容している認めているというポーズを周りに見せるために取っていて、その実その差異を当人が最も意識し存在させ、より高い隔たりを無意識のうちに形成しているのではないかと思う。

 

言葉にすることで隔たりや誤解を生むのなら、言葉なんてないほうがいい。でも、生きていく上で何かを伝えることは必要で、ジェスチャーとかだけだと足りないから言葉を使うしかない。だから、発語するときにはいろんな躊躇いが要請されるのだと思う。いたずらに人を傷つけないか、これは傲慢じゃないのか、自分はこんな単純な言葉に還元できるものだったのかとか。不幸にして、俺は無神経なものだからあまり躊躇いとかは無いけど、多分役者として、あと、脚本を書くときとか、必要なことなのだと思う。

 

 

とにかく、冬公演に来てください。駒場で一番面白いのは綺畸だって、ずっと思ってることだけど、自分の口から発せられるように断言できるようになるので。執行代が変わったらレベル落ちたねって言われたくないし、ここで頑張ります。

 

あと、戯曲を書きます。新人公演で作演出に挑戦します。他の作演出候補、特定の個人だけど、対戦よろしくお願いします

 

(文責:役者・甲斐敬識)